12/18「祇園 浜作本店」

食べ歩き ,

12/18「祇園 浜作本店」
「汲み上げ湯葉と車海老と湯葉」。三者三様の甘み、淡く優しい甘みが広がり、舌と喉がゆっくり開かれていく。
「バチコとナマコおろし和え」。ナマコ同士が出会う妙味。凝縮されたナマコそのものが口の中で膨らんで、ああ酒が恋しい。
煮物椀「ハマグリと鱧のしんじょ椀」。「ああ」。一口飲んで充足のため息が漏れる。「浜作」の甘口のお椀は、いついただいても心が満たされる。ハマグりのだしを少しだけ合わせた汁は、滋味深いのにさりげない。豊かさに富んでいるのに、はかない。舌を鼓舞し、喉を喜ばせ、体の隅々へじっとりと染み渡っていく。
「マグロと赤貝のお造り」。どこまでも滑らかなマグロも素晴らしかったが、見事な赤貝の爽やかな鉄分の香りが凛々しい。互いに鉄分を持った魚と貝の逢瀬が艶かしい。
「海老芋」。すうっと、繊維などなきかのように歯が入っていく海老芋のエレガントさに惚れる。
「鯛かぶら」。主役はカブである。鯛頭の旨味を吸ったかぶらは、噛むことなどいらぬかのように、滑らかに舌の上で崩れ、自身の甘みを誇り。
「ぶり」。塩焼きにして、下地をさっとつけたブリ。脂が乗った身の甘みが口の中で花開く。
「笹がれい、揚げおろし」。あげることによってこの魚の魅力である香りを存分に引き出し、一口食べた途端に目を細め、顔が崩れる。同席する人たちの、口には出さぬ静かな静かなおいしいが聞こえる。
「ご飯」鯛の造り、香の物、だし巻き卵、豆腐の白味噌汁、
「水菓子」柿 素晴らしい。